ポエム

12年目


朝もやの中
会いたい人の姿を求める

寝ぼけ眼と裸の足



還らぬと知りつつ
呼び掛ける声は

いつも
白い静寂に消えていった




霧がかかれば
また貴方が現れる気がする

現実と夢の狭間で
名前を呼んでくれる気がする




強く優しい面影に
縋り付いたまま

湿気を帯びた砂時計は
今も動いてはくれない






あの夏。



鳴き止まぬ蝉と
陽炎の揺らぎ

首にまとわり付く髪が
鬱陶しくて眩暈がした




頬を伝ったのは


汗だったか、涙だったか。




反発の目に
それでも応えてくれた
最期の笑顔が

心に絡みつく


茨のように、痛みを伴って。




後悔の本当の意味を知った

貴方が消えた、あの夏。






祭ばやしが


花火の音が


耳に痛いよ


今年も。







何時か貴方のように
誰かの蚊帳に成れるだろうか。






(最愛の父に捧ぐ)



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